【他社比較】その比較は本当に正しいのか?

新たに開発された製品の他社比較表を見て、他社より非常に優位性があり「これは売れる」と思ったものが、予想より全然売れないといったことを経験されたことはないでしょうか?

これは、そもそも他社比較表で比較した項目が市場で求めているニーズとは合致しておらず、比較表では「自社製品がよく見えた」だけで、比較する項目が間違っているからです。

例えば新しい製品を開発した際、下記のような他社比較表を見たことはないでしょうか?

自社製品の優位性が他社より高く、シェア獲得を期待できるような比較表ですね。

(シェア率)自社(5%)A社(20%)B社(45%)C社(20%)D社(10%)
価格
大きさ×
軽さ××
見やすさ
使い勝手×

開発部曰く、今回の自社製品はA〜D社の製品より各項目で上回っており、十分勝負になると。

では、この製品でどれだけのシェアを取るつもりか確認するとまずは10%を目指す、との回答。

トップシェアはB社で45%以上ありますが、B社より製品的にかなりいいと踏んでの開発品ですよね?

なぜ? 

なぜ、たった10%のシェアの獲得? こんなに評価が良いのであればトップ目指せるでしょう?

上記の他社比較表では、自社製品が一番良いポイントを叩き出しているわけで、比較表からは自社製品はお客様が望んでいる各種項目を満足させているはず。であれば、トップシェアを目指すべき製品であり、トップシェアを獲得しなければならない製品のはずです。

開発部がこれだけ良いと考える製品を開発したにもかかわらず、なぜトップシェアを目指さない(目指せない)のでしょうか?

トップシェアは「B社」であり45%のシェアを獲得しています。比較表を見るとB社の製品は「価格」や「大きさ」「見やすさ」が自社製品とA社にも劣っていますし、「軽さ」「使い勝手」も自社製品より劣っています。

また、自社製品を除いても比較表ではA社の方がB社の製品より各項目で優位となっており、それにもかかわらずB社はトップの45%のシェアを獲得しています。

なぜでしょう? 自社製品にもA社にも比較表では劣っているのにB社はシェアがトップ。B社とそんなに製品機能の変わらないC社も20%のシェアがありA社と同じマーケットシェアです。なぜ?

上記の比較表の各項目が、市場のニーズを本当に加味したものであれば、自社製品とA社は、B社よりシェアは獲得できるはずです。しかし、A社も20%程度のシェアしか獲得できていないということは、表には記載されていない別のニーズがあるのではないでしょうか?

例えば、製品を使用するためのトレーニングが充実している。使用中のメンテナンス、サポート体制が充実しているなど、製品だけでなく使用環境の整備がなされいる。もしくは使用においてこちらが気づいていない重要なポイントがあるのかもしれません。

そもそも論として、比較表を作る際にトップシェアのB社がなぜ売れているのかを分析していれば、売れているB社に◎がつく項目が入った比較表になるはずで、KBF(Key Buying Factor 購買決定要因)となる項目も含まれていないということは、上記の比較表は、自社が他社と比較した時に優位となる項目のみであって、本当に比較するべき比較表ではないということになります。

よって、上記の比較表は、本質的なニーズを加味した比較表ではなく、自社製品が有利に見えるように開発者の意図が反映された表であり、市場ニーズとは異なっている比較表なわけです。

社内で製品比較表を作成する際、得てして自社製品が良く見えるような比較表にしがちです。しかし、実際の市場に即した項目でなければ訴求ポイントとはなり得ず、結果、上市したのが全く製品が売れない、といったことになりかねません。そしてその製品は自己満足の製品となってしまうと考えます。

上記のような比較表を見たときには、どの製品がなぜ売れているのかを理解した上で、その比較項目が適切なのか、見極めることが重要と考えます。

皆さんはいかがお考えでしょうか?

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