会議で決めるべき真の目的の共有がないと不満を生む

会議の際に意見が2つに分かれていて、なかなかまとまらないことがあります。

少数派の意見ではあるものも上司がこちらの意見であったり、実務者の多くは多数派意見であったり、片方を立てればもう片方が立たない。こういったことが往々にしてあります。 

これは、その会議の真の目的(ゴール)が全員で共有できていないために、意見の相違が発生し、まとまらなくなっていることが原因と考えます。 

多数決は少数派の意見を排除することになる

例えば、下記のような事例の場合、あなたはどのように意見をまとめますでしょうか? 

あなたは大学のサークルのキャプテンです。夏休み明けの9月に一泊二日でサークルメンバーで旅行に行くことになりました。現状、2箇所候補として考えており、1つは海水浴場、もう1つは山にキャンプにしようと思っています。しかし、サークルメンバー内では意見が分かれ、なかなかどちらにするかまとめることはできません。

さて、学校は会社とは違うので上司部下の関係はありませんが、サークル内にも多少の意見の強い派閥はあるかもしれません。その派閥の意見を無碍にすると後から何を言われるかわかりません。このような場合、皆さんは海水浴場と山へキャンプをどのように決定しますか? キャプテンのあなたの独断で決定しますか?

人数がある程度多いとなると、一般的な方法は多数決が多いのではないでしょうか。民主主義ですからね。サークルメンバーが40名であれば、多数決で山キャンプ:23名vs海水浴場:17名となれば、過半数を超えた山へキャンプに決定する、といった手法でしょうか。 

ここで質問ですが、皆さんはこの方法が適切であると思われますでしょうか?

ここには、大きな問題が潜んでいます。それは「多数派の意見を採用することは、少数派の意見を排除する」ということです。 

目的と手段を混同しないようにする

さて一旦確認ですが、この旅行でのサークルメンバーの「目的」はなんなのでしょうか? 

  • 旅行に行くことですか?
  • 海で泳いで花火をすること? 
  • 海産物を食べること? 
  • 山キャンプでバーベキューをすること?
  • キャンプファイヤーをすること? 

でしょうか? 

もし、上記のような理由が「目的」であれば山に決定した場合、海水浴場に行きたかった17名のメンバーは山に行っても全く面白くありません。いやいや行きたくもない山に参加することになります。その逆もまた同様です。 

そう考えた場合、多数決によって決定した判断は、本当に適切だったと言えるでしょうか? 

ここで改めての確認なのですが、この旅行の「真の目的」はなんでしょうか? 

バーベキューをすることでしょうか?泳ぐことでしょうか?  これらは、「真の目的」を達成するための「手段」でしかありません。これらは、旅行でのレクリエーションの一つです。

では真の目的は一体何なのでしょうか?

真の目的、旅行に行く目的は「サークルのメンバーといつもと違う環境で楽しく過ごしたい」ことです。

「目的」と「手段」を混同してしまうと、海水浴ができないから面白くない、すなわち「目的が達成できない=海水浴ができない」という考えのもと、手段が達成できなかったので目的が達成できなかった、という考えになってしまいます。 

真の目的は、海水浴場に行きたい人も山にキャンプが行きたい人も、「楽しく過ごしたい」ですから、それができる方法をあなたがサークルメンバーに提案できれば、目的地が「海」であろうが「山」であろうがどこでも良いのです。 

例えば、海でも山でのイベントではなく、全員が参加するミステリーツアーを思いっきり本気でやる、全員参加のクイズ大会をやるなど、結果的に全く海、山、関係なくても「楽しく過ごしたい」という目的がメンバー全員と共有でき、真の目的を達成させるための方法をクラス全員で提案し実行できれば、山に行きたい人も海に行きたい人もハッピーになれるはずです。

多数決ではそれは達成できず、少数派で排除されたメンバーはどこかに必ずわだかまりがでます。 

目的を共有する

真の目的に対しての手段は人によって様々です。

例えば会議でも「売り上げを伸ばす」というお題目のために色々な施策について協議されますが、なぜ売上げを伸ばす必要があるかを突き詰めていくと、真の目的は「売り上げを伸ばす」ことではなく「利益を確保する」ことかもしれません。あと少し利益が出れば臨時のボーナスを出せるかもしれない。その利益を確保するために「売り上げを伸ばそう」とミーティングがなされていることもあるかもしれません。

しかし、売り上げを伸ばさなくても、利益を確保するということであれば、輸送費、原価、廃棄量の削減などの見直しによって、売り上げを伸ばさなくても利益をアップさせる方法があるかもしれません。会議の真の目的(=利益の確保)を初めからメンバーと共有することができれば、「売り上げを伸ばすこと」を目的とした施策だけでなく、別の方法も提案され、全員で同じ方向に進み不要な論争もなく、より真の目的に到達しやすくなるのではないでしょうか?

まとめ

  • 多数決は少数派の意見を排除することになる。
  • 目的と手段を混同しないようにする。
  • 会議前には真の目的を共有しておく。
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