ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の運営会社は3月8日、任天堂の人気キャラクター「マリオ」などが登場する新エリアを18日に開業すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開業を2度延期していたが、大阪府で政府の緊急事態宣言が解除されたため、オープン可能と判断した。
2010年ごろ、USJが不振に喘いでいた際、そのUSJをV字回復に導いた立役者が森岡毅氏です。
森岡氏がUSJの回復させたお話は色々な著書やYouTubeでもみることができます。
ただ、その中で紹介はされていない点として、私が一番気になるところが、どのようにして日本のアニメーションやゲームのコンテンツをUSJに導入したか、つまりユニバーサルスタジオにどうやってGoと言わせたのか、です。
皆さんもご承知の通り、USJはアメリカのテーマパークです。その双璧となるのがディズニーランドであり、こちらもアメリカのテーマパークです。ディズニーランドはその名の通りディズニーのテーマパークであり、そのアトラクションは全てディズニーに関連するものです。
当たり前と言えば当たり前です。
一方、USJを見てみますと、開園当初はこちらもユニバーサルピクチャーズ関連のアトラクション、例えばETアドベンチャーやジョーズ、ターミネータ2などが主で、最近の学生さんは映画を見たことがないかもしれないですね。
しかし、森岡氏が関与されるようになると、USJでは日本のアニメやゲームのイベントやアトラクションが導入されます。例えば進撃の巨人、バイオハザード、妖怪ウオッチ、名探偵コナン、今回のマリオなど。数えればキリがありません。
確か2015年ごろだったでしょうか。私はテレビCMで「進撃の巨人」とUSJのコラボレーションを見たとき、かなりの衝撃を受けました。別に「進撃の巨人」が人気があったから衝撃を受けたわけではありません。
先に記載のようにディズニーランドはディズニーのキャラクター戦略を打ち出しており、USJも同様にユニバーサルピクチャーズのキャラクター戦略を打ち出していました。
それにも関わらず、アメリカの巨大企業ユニバーサルピクチャーズ傘下であるUSJが、自社のキャラクター以外で、それも日本のアニメーションでイベントを組んでくるなど、私には考えられなかったからです。
普通に考えて、アメリカの企業は自国のユニバーサルスタジオで成功しているアトラクション、例えばスパイダーマンやハリーポッターなどをそのまま日本に導入するというスタンスが多いはず。実際、初期のUSJはそうでした。そこに日本のアニメのキャラクターが導入される、すごいことです。
USJもディズニーランドも自社のブランドイメージを大切にしています。なので、アトラクションは自社のキャラクターに関するものになっています。
そこに「進撃の巨人」のアトラクションです。ディズニーランドに「ドラえもん」のアトラクションが導入されるのと同じです。ディズニーは絶対に許可しないですよね。
おそらくUSJ側で日本のアニメのアトラクションの企画案が上がって、アメリカ本社がGOを出していると思われますが、アメリカ本社にどのようなプレゼンをし、どのような戦略を打つことでどのように本社を納得させたのか?
売上が悪いからと言って、コンセプトの違うアトラクションの導入を簡単に許可するでしょうか?
わたしはそれに対して非常に興味があります。自社映画のコンセプトとは異なる日本のアニメを導入させた経緯、どうやってアメリカ本社を納得させたのか、経緯をすごく知りたいです。
さて、その結果は、数字が示す通り大成功でした。例えば妖怪ウオッチなどのアトラクションに子供が「行きたい」というと、子供一人ではUSJには行けませんので、保護者も漏れなく一人ないし二人がついてきます。
「ドラえもん」や「仮面ライダー」の映画なんかも同じ要領ですね。ターゲット顧客は子供、プラス親みたいな構図になります。ここで食事や飲み物、グッズの販売が見込めます。
子供参加型のアトラクションでは、保護者がついてきます。
保護者はそれをビデオを撮ったり写真を撮ったり、思い出を記録することができます。
以前のUSJはどちらかというと高校生以上の映画を見て楽しんでもらえる顧客がターゲットだったように感じますし、子供参加型アトラクションとなると、ディズニーランドの得意分野ですね。
しかし、USJも妖怪ウォッチなどのアニメの効果で子供参加型が可能となり、また、学生から大人に人気のある「バイオハザード」や「進撃の巨人」などを導入することによって、USJの映画では来園しなかったであろう顧客に対し、このイベントで遊びたいという価値を生み出して来園させたように思います。
ディズニーランドとは顧客の棲み分けがうまくできたことと、また、楽しみのニーズが違うことで今までディズニーランドに行っていた顧客もUSJに来園させることに成功したのではないでしょうか。
ディズニーランドは確かに素晴らしいのですが、基本的にはディズニーが好きだから、ミッキーが好きだからディズニーランドに足を運ぶ方が多いと思います。
それに比べてUSJは、ユニバーサルの映画が好きだからというよりは、アトラクションやアニメやゲームとのコラボレーションのイベントを楽しみたいという価値によって足を運ばせているように思います。私もバイオハザードホラーのためだけにUSJに行きましたし、昨年もハロウィンホラーナイトで非常に盛り上がっていましたね。これも全く映画に関係ないんですが。
家庭用ゲームでもソニーのPS5が学生、大人をターゲットにしたゲームコンテンツに対し、任天堂Switchが子供や家族向けにゲームを展開しているように、USJとディズニーはターゲットが棲み分けされていたように思います。
しかし、そこでUSJは日本のアニメを用い、大人も子供も楽しませるコンテンツを作ることで、家族みんなで遊べる価値を創造したことが、顧客取り込みに関し良い結果につながっていると考えます。
私はフロリダのユニバーサルスタジオが好きで何回か行きましたが、知らない映画のアトラクションやキャラクターも多く、また、激しいアトラクションも多くて、大人が楽しむにはよいですが子供は楽しめるかな、と感じていました。そう考えると、現在のUSJのように、日本で人気のあるアニメキャラクターのイベント・アトラクションであれば、子供の反応も違ってきますし、それによる集客も見込むことができます。
2024年の春にはドンキーコングのエリアも登場しますね。
今後もUSJは新たなコンテンツを導入し楽しませてくれるのではないでしょうか?