昨日から新型コロナウイルスのワクチン接種回数や接種用の注射器について、色々ニュースがありました。
3月9日のニュースでは、新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、1瓶あたり5回とされていた接種回数を、注射器を変えることで「7回」に増やせると、京都の宇治徳洲会病院より発表がありました。
また同日、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン接種で、鳥取県立厚生病院(同県倉吉市)は、国が確保した注射器内から空気を押し出す際の工夫により、現在国が想定している1瓶5回よりも多い6回の接種が可能になると発表されました。
専用の注射器がないから6回分、7回分のワクチンを採取できない。メーカーは早く注射器を増産しなければならない、と現場からも政府からも言われていると思いますが、注射器が無いから5回分しか採取できない、ではなく現状あるものを用いどのように行えば6回、7回の接種が実現できるかを創意工夫されているところは、医療現場だけでなくサラリーマンの現場でも非常に参考となる事ところです。
普段から問題解決意識を持っているか?
今回の使用方法についてもちょっとしたことかもしれませんが、それに気づくかどうかですね。普段おこなっている「仕事」を「作業」として捉えているのであれば、このような発想は思い浮かばないと思います。普段から色々な病気の患者さんが来院され、色々な症状の患者さんに如何に適切な治療を行うかを常日頃から考えているからこそ出てくるアイデアではないでしょうか。またそれは一人のアイデアではなく、色々な部門のメンバーが一人一人考え、色々な経験を持ち寄り、知恵を出し合った結果の成果のように思います。この辺りは企業でも同じですね。三人寄れば文殊の知恵、昔の方はよく言ったものです。
しかし、こういう細かな使い方に気を配ることができるのは日本ならではの光景ではないでしょうか。今あるものをよりよくする、製品や使用方法などの改良や実用化する能力は日本人ならではではないでしょうか。最近は新しいものを作るためイノベーションが大事とよく言われますが、そもそも日本人は新しいものを創造することが非常に苦手です。昔から海外のものを輸入し、それをうまく改良したり実用化したりすることが得意な人種。私はそれでも良いと思います。改良を思いつくということは、現状が自分たちによって満足できないことを理解し、日本人(顧客)にあったものを実用化することができる、ということになります。いくら新しいものを創造したとしてもそれが世の中で認められなければ「価値」がなく、新しいものではないが改良することでそれが顧客にとって意味のあるものであれば「価値」が生まれます。パソコンもアメリカから訪日された方がA4やB5のパソコンを持っている姿を私はあまり見たことがありません。持ち運びに便利、バッテリーが長持ち、軽い、など日本人のニーズに合わせたものを実用化することができる。それが日本人の誇れるところだと思います。 結局のところ顧客にとってはその製品に「価値」があるかだけです。
さて「価値」というところでいくと、医療機器大手のテルモが米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを1瓶から7回分接種できる注射器を開発したことが9日に分りました。甲府工場(山梨県昭和町)で今月末に生産を始め、順次出荷するとのこと。一般的な注射器より2回多く採取でき、効率的なワクチン接種につながりそうだ、とのニュースも出ておりました。テルモは、皮下注射を想定して2009年に開発した注射器を改良。針を約3ミリ長くして筋肉に届きやすくしたとのことです。
こちらも今ある製品を改良して、ファイザーがいう6回分の採取ではなく7回分も採取できる注射器と針を開発されています。ワクチンが不足している今、無駄なくワクチンが採取できるという「価値」を生み出した製品です。ものすごい開発をしたわけではありません。何が必要か考え、現在あるものを今必要なものに改良し実用化しただけです。問題があればすぐに改良し実用化する、という姿勢は多いに見習わなければなりません。
現在、国内はもとより海外も新型コロナワクチンが不足しています。そのような中でこのような注射器はかなりの需要が見込まれるのではないでしょうか。