2022年6月22日のyahoo newsの記事で「やっぱり“勉強しない日本人”。「自ら学ぶ」は2年連続減少【5万人調査】」といった記事がありました。
リクルートワークス研究所は2022年6月21日、約5万6000人を対象にしたアンケート調査「全国終業実態パネル調査(2021年)」の結果をまとめ、その結果、コロナ直後に急激に悪化していた「学習・訓練」に関する項目は、2021年もほぼ変わらない水準で、なかでも自ら勉強する「自己啓発」については、前年よりもさらに悪化していた、とのことです。
「学習・訓練」については、2020年時点の調査からコロナの影響で状況が悪化していたそうです。リモートワークが増えたことなどで、OJTが減ったことに加え、特に対面での講習会などOff-JT(通常の業務から離れての教育)の機会も減少していた、とのことです。
日本では会社における「人への投資」、すなわち「学習・訓練」については、昔から低調です。確かに企業が人に投資するためには、多額のコストが必要です。会社がコスト削減のため、人への投資金額を抑えることは想像がつきます。
では、記事にもあった「自己啓発」はなぜ減っているのでしょうか? 日本のサラリーマンは、本当に「自己啓発」を「しない」のでしょうか?
「自己啓発をしない」というよりは、「自己啓発する必要がない」というのが適切ではないでしょうか。
なぜならば、大半の日本のサラリーマンにおいて、自己啓発をしてもしなくても毎月のお給料は大きく変わらないからです。また、アルバイトやパートでも大きな時給の向上も見込めません。
終身雇用や年功序列の企業では、極端な話、仕事ができようができまいが、ある程度の給料が保障されています。もし、仕事ができないと判断されたとしても、部署の移動はあってもクビにはなりません。また、仕事ができる、できないに関わらず、年功序列の会社ではある程度の年齢になればそれなりに役職も上がります。最近は再雇用制度もあり、60歳の定年であればそこから65歳、場合によってはさらに数年仕事をすることが可能となってきました。良い意味で、会社は最低限の生活を保障してくれているわけですね。
先行き不透明な世の中で年功序列、終身雇用が定着している会社に就職し、多くとは言わなくても安定的に給料がもらえることは生活をしていく上で非常に魅力的です。しかし一方で安定思考に陥るあまり、新しいことへのチャレンジをしない、今ある仕事を改善しない(する必要のない)環境で、ただ与えられた仕事をこなすだけという現状維持を継続していこうというマインドに陥りやすい環境ともいえます。色々学んでチャレンジをしなくても安定してお給料がもらえるからです。
このような環境下において「自己啓発しよう」と考える人が果たしてどれだけいるのでしょうか?
通勤時間の電車の中だけでも自己啓発はできますが、スマホで漫画を読んだりゲームをする人がやはり多いのは、なかなか自己啓発するという意識にならない人が多いからだと思います。
では「自己啓発」する人はどのような人でしょうか?
例えば自分で新たな事業を始めた人、転職を考えている人など、自分の中で「目的」がある人は、その目的達成のため頑張れるでしょうが、目的がなければなかなか自分を高めようとは思わないでしょう。そして自己啓発によって「より大きな成功」、「より優れた人格」、「より高い能力」などを自分自身で獲得した「価値」に対して得られる「対価」がなければ人は努力はしないでしょう。
そう考えた場合、先述の年功序列の会社では、自分がいくら自己啓発をしても得られる「対価」はあまり期待できません。
日本のサラリーマンが現状の社会でそのまま働くと考えた場合、自己啓発を行うことに「メリットがない」ことが最大の問題点であり、自己啓発をおこなったことによる「対価」を十分に得られないシステムを続けていく限り、自己啓発を行う人が増えることはなかなか難しいのではないかと思います。日本が成長できない理由には自己啓発を行う必要がない、という環境も影響しているかもしれませんね。
日本人が「自己啓発をしない」というよりは、「自己啓発する必要がない」というの環境に身をおいていることが一番の要因ではないでしょうか?自己啓発をして給料が上がるようになればもっと自己啓発は行われるでしょうし、また、終身雇用ではなくもっと転職が当たり前の世の中になり、それが定着すれば自身のスキルを売り込むために日本人の自己啓発も活発に行われるのではないでしょうか。
皆さんはいかがお考えでしょうか。
まとめ
- 自己啓発は目標があって初めて行うもの。
- 自己啓発を行うことによって獲得した「価値」に対して「対価」が得られなければ人は自己啓発をしようとは思わない。
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