2021年3月21日、政府は首都圏4都県に発令していた緊急事態宣言を解除しました。政府からもリバウンドを防止するために自粛を求めています。しかしながら、22日の夜の上野などでは大勢の方が飲み歩いているようなニュースも出ていますし、昨日のニュースでも京都の観光地でもすごい人が観光に来ておられました。
コロナ禍におけるリバウンドを防止するためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
人の行動には何らかの動機があるはずであり、行動を抑制したいのであればその動機づけが必要になってきます。
人が行動を抑制するには2つの方法があります。1つは「罰を与える」、2つ目は「徳を与える」です。 心理学では「快楽と痛みの原則」と呼ばれているそうです。
痛みとは「恐怖」「苦労」「苦痛」「嫌なこと」など。
快楽とは「喜び」「お得感」「達成感」などです。
1つ目の「罰を与える」は、それなりに効果的ではありますが、罰を受けることをわかっていてもルールを破る人が出てきます。例えば、飲酒運転も煽り運転も厳罰化されましたが、未だに事故のニュースが後を断ちません。
罰は一時的なものであり「喉元過ぎれば熱さを忘れる」です。 本当に大きなダメージが残るほどの罰を与えても効果がない人が一定数存在し、それが飲酒運転や煽り運転、デジタルタトゥーとなるSNS投稿などです。また、罰の場合は反感や逆ギレなどのマイナスの感情も生みます。
一方、「徳を与える」というのはどうでしょうか?
いつもなら行動しなくても、その「徳」があるからつい行動してしまう。例えば、選挙の投票証明書を提示すれば投票所の近くのお店の昼食が無料になるので選挙に行く、普段は買い物をしない方が地域のお店で買い物をすると5,000円分徳をする地域限定クーポンで買い物をするなど、私たちは何か行動を起こす時は、なんらかの「徳」を感じて行動をしています。
自粛しない人に自粛を呼びかけるには、自粛することにより自分にどれだけの「徳」があるのか考えさせることができればより効果的だと思います。しかし実際には、お店に対して罰則を設けて規制していましたが、やはり罰を与えるというのは反感を生み、営業を続けているお店もありましたし、裁判を起こしたお店もありました。お店側も東京都側も、どちらも良い思いはしなかったと思います。また営業しているお店があればお酒を飲みたいお客はそのお店に行き、そこが密になり感染のリスクが上がるという、悪循環を生みます。
お店の自制心に全て任せる時短要請はなかなか難しく、お店が自粛すると得られる「徳」を示し、それを提供することが1番の解決策と思いました。この自粛することの「徳」として、東京都は一律4万円、6万円の支給をおこなっていましたが、それを「徳」として感じなかったお店は結果的に営業していました。お店の経営者の方々も、店を閉めていることでの「徳」と感じていれば(もちろん仕方がないという点もありますが)、ここでは金銭的な「徳」もあり、さらに「感染を抑制する」という社会的に貢献するという「徳」も発生しますから、ルールを守っていただけると思います。
人は「徳」が何なのか、感覚的に理解しています。なので、上述のようなクーポン券などにたくさんの人が応募されたりします。
会社で考えた場合、商品を販売する時はお客様が商品を購入した時の「徳」、そして購入した後の「価値」にどういったものがあるのか、お客様の立場に立って十分に理解していただくことによって、購買行動を即することができます。
今回の緊急事態宣言で起こった政府とお店とのやりとりは、会社とお客様の間でも起こっている事です。そういった意味で考えると、政府からのお客さま(お店)の立場でどういった「徳」があるのか、といった目線での提案ではなく、「罰則」が前面に出ていたため、渋々で自粛したり、営業を続るお店が存在したりと混乱があったように思います。
人を動かすには「罰」ではなく「徳」が重要。「徳」があれば自ら進んで行動する。
皆さんはいかがお考えでしょうか?