【価格戦略】ステルス値上げより普通の値上げの方がまし。必要な値上げは行うべき

昨今の原価沸騰の煽りで、マヨネーズに関しても値段が上がっています。ただ、値上げをしたからといって顧客が離れていくのか?、ということは限定的ではないでしょうか? 

自社のブランドがどのような消費者にどういった理由で購入されているかを理解していれば、多少の値上げは消費者に受け入れられるものではないでしょうか?

キユーピーは、容量などに応じて出荷価格で約2~10%の値上げを行った。 主力商品『キユーピー マヨネーズ450g』の参考小売価格(税込み)は、378円から402円と6%上がる。味の素でも、家庭用・業務用のマヨネーズ製品の出荷価格を約1~10%値上げした。 マヨネーズの主な原料である食用油価格の高騰を受けて、2社は値上げに踏み切った。価格高騰の背景には、原料となる大豆など穀物の世界的な供給不足がある。

 中国など主産地の天候不順で生産量が減ったうえに、コロナ禍による渡航制限で労働力が不足し収穫量も減少。国際商品先物市場における大豆価格の高騰も要因として挙げられる。 

とのことです。 

個人的には、原料沸騰による価格のアップは仕方ないと考えています。日本は輸入で賄っていますし、世の中がデフレだからと言っても、いつまでも安く販売をし続けることは企業として利益確保を考えた場合、永続的に続かない事は明確です。必要に応じて値上げは必要です。 

またスーパーに行くと、価格は変わらないのに内容量がものすごく減っているスナック菓子や明らかに小さくなったパンを時々目にします。消費者がどうせ気づかないだろうとステルス値上げをしているものもありますので、今回のキューピーは理由が明確な分、遥かに良心的だと思いました。 

価格にはその製品の「バリュー」と「ブランド」が含まれます。 

「バリュー」はその製品の価値や値打ちであり、「ブランド」はマヨネーズであればキューピーという名前やその価値を認識させるものです。 

よって、良いブランドと認識されているものは、消費者はそのブランドに対して対価を支払いますので、明確な理由があっての値上げであれば、一時的に消費者は離れることはあってもある程度は戻ってくると思います。 

日本に於いてキューピーマヨネーズというブランドネームは浸透しており、「マヨネーズ」=「キューピー」というほどの位置付けになっているのではないでしょうか。消費者へのブランドが定着している証拠です。 

もしキューピーほどのブランドネームのある会社が、消費者に黙って内容量を減らすようなステルス値上げをしてしまったら、それこそ昨今のSNSなどの情報拡散によりブランドの価値を大きく傷つけてしまい、大きなダメージを受ける可能性もあります。 

また、値段が多少上がったとしても、小売店では定価で売っているところはほぼありませんから、いくつかのスーパーが近くにあればそこで購入すれば良いですし、買い物に行ってマヨネーズだけ買って帰る、ということはまずありませんから、その他の他のスーパーより安い食品を買えばマヨネーズの価格アップ分は多少ですが相殺されます。

購入金額は「その製品のブランド力と価格設定のバランスがどこまで消費者に腹落ちするか」によって購入が決定されますから、キューピーマヨネーズが必要な人はその価格に腹落ちすれば購入してくれますし、マヨネーズは安い方が良い、と考える消費者は、そもそも最初から安いマヨネーズを求めているわけですから、キューピーマヨネーズを選んでいません。

そう考えると、キューピーマヨネーズを購入する消費者と購入しない消費者では初めから顧客のセグメンテーションが違うことになるかと思います。 

日本は不景気が続いており、価格に対して消費者は非常にシビアになっておりますが、そもそもキューピーは以前から他より価格が少し高いため、価格が多少上がったからといって、キューピーマヨネーズのブランド力で購入している顧客が大きく離れることはないのではと思います。

価格は、そのブランドとのバランスが大事ですので、デフレだからと言って、なんでもかんでも安くするのではなく、他社と差別化できる製品や、ブランド力がある製品は可能な限り高く売っても良いと考えます。 

売り上げを維持するために品質を劣化させたり、ステルス値上げをして消費者の製品イメージをダウンさせるよりも、良品質を確保し、企業の継続的な利益の確保する上での合理的な値上げは、会社の経営から見ても価値のある値上げであり、市場でも受け入れられるものと考えます。 

また、もしそこで顧客の減少が想定されるのであれば、顧客のセグメンテーションやチャネルを見直し、新たな顧客の確保を考えていけば良いと考えます。 

消費者目線でいくと安く購入できることは非常にありがたいことです。一方、原価が上がったり、輸送費が上がったりしているにもかかわらず、製品を値上げしないということは、品質が悪くなったり、量が減ったり、また人件費が削られたりと、結果的に消費者に対しても悪い影響を与える可能性もあります。

昨今、原価や輸送費等が上昇による値上げが続いていますが、それを良いタイミングでありチャンスとして捉え、しっかりと製品を差別化した上で適正価格で販売して利益を確保する、という考え方が浸透して給料が上がっていくようになればいいな、と考えます。

皆さんはいかがお考えでしょうか? 

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