【社員が定着しない理由と定着し続ける理由】 

最近はなかなか優秀な社員が入社してこない、入社しても2-3年で退職してしまう、など求人に苦慮している会社を耳にします。 

求人の時点では、その会社が如何に魅力的であるかというポイントが重要となりますが、数年で退職する社員が多い場合、会社自体、もしくはその社員の上司になんらかの問題点もあるように思います。 

下記の記事では優秀な社員が会社を辞める理由「優秀な人が会社を去っていく、7つの理由」として記載されています。 

  1. 有能な社員に仕事が集中する 
  2. 社員との間で個人的な関係を築かず、仕事以外のコミュニケーションがない
  3. よい仕事をして、いつも会社に貢献しているのに、評価を受けていない
  4. 社員の成長を支援しない 
  5. 価値観を共有できない人材を採用し、誤った昇格人事を行う
  6. 裁量権を渡していない 
  7. 尊敬できない上司や管理職の下で働いている 

なかなか痛いところを突いている内容に思います。結構、日本の会社では上述のポイントは当てはまるのでは無いでしょうか?

上述をまとめると辞めていく人にとっては【この会社にいるメリットがない】ということが一番のように思います。 

私は「メリット」として、例えば、 

  • 自分が「成長」できる環境が整っている。 
  • 何事も前向きで、失敗してもポジティブに物事を進めることができる。 
  • 新しいことにチャレンジできる環境にある。 

などがあると思います。

入社される方、特に新入社員の方は何らかの希望を持ってその会社に入社されたはずで、その夢や希望、仕事の充実を叶えるために前向きな気持ちでに進んでいきたいと思っているはずです。 

しかし実際に入社した後、待っている現実は、チャレンジをしない停滞した閉鎖的な環境であったり、ただルーチン化した業務を行うだけであったりと、思い描いていたものとは違うことが数多くあります。ただ作業をこなしているだけであればロボットと同じであり楽しくはありません。新しい発見や刺激があると何事も楽しく進めることができますがそれを感じることができない。すなわち会社にいる「メリットがない」わけで、そして会社に未来を感じられず去っていく。

厚生労働省が発表している大学新卒者の離職率統計では、約30%が3年以内に辞めていると言われています。いわゆる第二新卒のタイミングで30%の新入社員が離職しているわけです。新入社員の方が会社をよく観察していると言うことですね。  

一方、上述の環境でも会社に残っている人は、同じ環境下であってもメリットを感じている方もいるのではないでしょうか?

例えば、 

  • ルーチン業務なので新しいことを想像する必要がない 。
  • チャレンジしなくても普通に仕事をやっていれば、生活できる給料は支給される 
  • 現状は会社が安定しているので、自分が働いている間は会社は潰れないだろう、と感じている

など。 

どちらの考えが正しいと言うことではありません。人はそれぞれ人生設計があり、考え方が異なります。 

ただ、多くのサラリーマン(と私が感じているだけですが)は、どちらかというと安定志向が高いと思いますし、後者の考えの方が多いようにも思います。最近は転職が多くなったと言っても、2019年の転職者比率は実際は5.2%程度です。 

 不景気で給料も上がらず先行きが不透明ですから、「安定志向」を求めるのは自然な流れだと思います。 今のまま、与えられた仕事を普通にこなしていれば、特に新たなチャレンジしなくても会社がすぐに潰れると言うことはそうそうありません。特に50歳を越えれば定年まで給料が貰えて社会人としては逃げ切れる可能性が高いわけですから、安定志向になることは妥当かもしれません。 

ただ、「安定志向」だから「新たなことにチャレンジしない」ということはまた別だと思います。 

この会社をもっと大きくしていこう、会社がもっと儲かって良いお給料をもらおう、例えば中小企業などでは、会社を大きくするために社員が力を合わせて知恵を絞り、新しいことにチャレンジしていく風土が多いように思います。そういう時は上司も部下も皆で前を向いて、会社全体が成長していく環境となっています。

そして会社が大きくなり収益が安定すると、挑戦するのではなくまず現状から下振れしないことを優先するようになります。会社というより、失敗したことによってリスクが発生する上司が挑戦をしなくなり安定を優先する、すなわち「現状維持」を望むようになります。前例がないことは行わない、リスクがあることはできるだけ行わない、今までのやり方を踏襲していく、転職のCMに出てくる上司みたいな感じでしょうか。 

そしてチャレンジしようとする考えがなくなってくると、上司としては「チャレンジすること=リスクを追うこと、失敗=リスクを取らされること」といった風潮となります。

もちろん会社は成長戦略を掲げる訳ですから「新たなことにチャレンジしよう」と示すでしょうが、実際の現場でそれが伝わるにはなかなか難しいように思います。新たなことに挑戦し失敗すると「悪」になりますから失敗しないような仕事に終始しがちです。

本当に新たな提案をするような人材は会社に馴染めず離れていき、そして会社には現状維持に終始する人たちが段々と多くなっていきます。 

現状維持を好む人が上司になると、部下からの新しい提案はその上司に棄却されますので新たな提案をする部下はその会社に見切りをつけ退職し、そしてそこには、現状維持を良しとする上司、部下ばかりになってしまいます。そして現状維持を望む上司が指名した、その部下が次の上司になった時、今までの経験から「現状維持」が継続されます。そうして、いつしか誰も新しいことにチャレンジするという環境が消え去り、チャレンジ精神を持った社員は組織に違和感を感じ辞めていく、と言った流れが出来上がってしまうと考えています。 

この感覚になんとなく似ているなあ、と感じたCMが最近放送されています。現在テレビ等で流れているDODAのCMで先輩・上司から発せられるセリフがそうで「前例がないことは通せない」「うちの会社じゃ無理だって」という言葉は、まさに上述したことをを示しているように思います。 

このCMを見た時、現状維持が目的となった会社(新しいことを良しとしない会社)は、まさに今の日本であり、景気が悪いからこそ、売上を伸ばすためのチャレンジをするのではなく、売り上げがこれ以上悪くならないように考える日本社会の縮図のように感じました。 

もちろん会社は存続しなければなりませんので、現状維持で売り上げが安定していれば企業としては問題ないかもしれません。しかし私のようなただのサラリーマンの生活を考えた場合、支給される給料は現状維持であったとしても、最近の物価の上昇等により、購入できるものはどんどん少なくなってきています。さらに今後、逼迫した財政改善のため、税金が上がることも想定されます。その結果、私のようなサラリーマンは消費を抑制せざるを得なくなります。なんとなく従来通りのやり方で大丈夫でしょう、と考えていると、いつの間にか会社が傾き、いわゆる「ゆでガエル理論」のように手遅れになってしまうかもしれません。 

上述の通り、新たな試みにチャレンジするもしないも、会社の方針であったり、本人の考えであったり、どちらが正しいということではありません。新たなことにチャレンジして失敗することもありますし、転職しなければよかった、と後悔することももちろんあるかと思います。ただ、何もしなければ何も変わりませんし、何かすれば成功するも失敗するも経験はできます。それが変わることになります。 

長いサラリーマン人生の中で色々なターニングポイントがあるかと思います。 今、自分が何をしたいのか、何をすべきなのか、辞めるのか辞めないのか、その判断は自己責任ですから、時々見つめ直すことが重要と考えています。皆さんは如何お考えでしょうか? 

タイトルとURLをコピーしました