小田急線:どのようなコンセプトで集客し定住させる?

少し前ですが、小田急線が子供運賃を一律50円にするとのニュースがでていました。子育て世代には非常にありがたいことです。 

 
記事を読んでいますと、小田急線における2018年度の運輸収入のうち、子ども運賃の占める割合は0.7%程度であり、今回の戦略で収益には大きな影響はなく、「子育て世帯を沿線に呼び込むことができれば通勤などによる大人の利用者も増加できる」と見込んでいるようです。 確かに、小さな子供一人で遠くへ行くことはほぼありませんので、今回の施策で親子で電車を使用してお出かけをする人が増えれば、親の運賃、及びグループが運営する観光施設や商業施設の売り上げ増加も見込めます。 
小田急電鉄では沿線では人口減少となっていくことを想定しており、『子育てしやすい沿線、将来的な沿線人口の減少を想定して子育て世代の定住を促したい。』ことが今回の施策の理由のようです。 

さて、小田急電鉄は定住してもらうことを目的としているようですが、定住するための「沿線の魅力」とは何でしょうか?それは今回の値下げなのでしょうか? 

前述の通り、小田急電鉄の狙いは『子育て世代に定住させること』です。ただ、「定住してもらうため」にどのようなコンセプトに沿って施策を実行するのか、現状では不明確なように思います。 

実際、「子育て世代が定住したい」と感じる沿線の魅力とはなんでしょう? 

例えば、子供の事を考えた場合、 

  1. 治安が良い 
  2. 保育園などの待機児童がない 
  3. 公的支援や福利厚生が充実している。例えば、子供の医療費が中学生まで無料、公立の小中学校の学費が無料 

など。

また、親の立場から見た場合、 

  1. 道がフラットで徒歩、自転車、またベビーカーで移動しやすい 
  2. 駅から自宅までに食材などの買い物ができる施設がある。仕事からの帰宅時に買い物ができる 
  3. 仕事からの帰宅時に子供をすぐにピックアップできる。 
  4. バスなどの交通網が充実している。 
  5. 仕事場(都心)までの移動が便利 
  6. 沿線の将来の発展性:そこに家を買う価値があるのか?

などでしょうか?

つまり、『運賃が安いから』その沿線に住むのではなく、毎日生活をおくる上で子供と親にとってどれだけ利便性があるか?、が大きなポイントになるかと思います。 

顧客の集客で考えた場合、子供運賃を下げることは一つの戦略ではありますが、「定住」を目指すのであれば、まずはその沿線の魅力を向上させるための戦略が重要かと思います。よって沿線のインフラ整備が先なように思います。 

沿線に定住させる戦略として『小さな子供を持っている共働き世帯をターゲットにする』のであれば、その沿線の庭樹戦略のコンセプト明確にし、そのコンセプトを例えば『共働きの両親が安心して子育てをすることができる沿線』とするのであれば、そのために何が必要か考えなければ、結果的に子供運賃を下げたが定住はしない、利益は下がった、となる可能性もあります。 

もし、上述のコンセプトで進めるのであれば、 例えば、使用する駅前に普段使いできるスーパー、コンビニを開店する、駅の高架下を使って保育園、駐車場、駐輪場、塾、美容院、薬局、クリニックなど開設し、駅前で子育できる環境を整える、など。現在、共働きの世帯は50%を超えているわけですから、駅前の整備が行えれば、母親だけでなく、父親も子育てに協力できます。母親が帰りが遅くなるのであれば父親が買い物をし子供を迎えに行って帰宅する、という流れが駅から家まで、大きな寄り道をすることなく真っ直ぐ帰宅できます。駅を生活の拠点とすることによって定住するメリットを伝えることができる可能性があります。 

利便性が上がれば人は集まりますし、人が集まれば商業施設も増え、路線を使った集客も可能、その市の税金もアップし、税収が上がれば社会保障も充実するという好循環が生まれます。 

その可能性をもっているキーマンが小田急電鉄であり、今後どのように戦略を打って出るのか見てみたいですね。

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