ちょっとした工夫の結果【ポジショニングを変更した事例】

少し前ですが2021年4月24日にサタデープラスという朝の情報番組で「たった一工夫で!売り上げアップアイテムランキング」ということで商品が紹介されました。 

第一位はシェアリーという傘で、傘の軸が中央ではなく少し横にズレている製品です。傘を持っている手の反対側(右手で傘を持っていれば左側)は肩とか鞄がどうしても濡れてしまいますが、軸がズレていることによって右手で傘を持っている場合、左側の傘部分が大きくなるので、肩が濡れないという優れものです。このように、今ある製品にちょっとした工夫を加えることによって、大ヒットになる製品が数多くあります。 

私が一番面白いな、と思ったのは第7位のスライス羊羹です。確か売り上げが500倍になったと番組では言っていました。ほとんど売れていなかった羊羹を薄いシート状にし、トーストにのせて焼くだけで「小倉バタートースト」ができるという製品です。 

私が何が面白いと感じたかというと、他のランキングの製品は、第一位の傘を含め、「今ある製品の問題点を見つけ、それを改良・改善する」というものです。しかしこの羊羹は、今販売している羊羹の「食べ方」、製品のポジショニングを変更しただけです。 

普通の羊羹のイメージは、お盆のお供物だったり、年配の方のお土産だったり、沢山食べるようなイメージのあるお菓子ではありません。しかし、それをスライスしてパンにのせて食べるもの、「お供物」としての羊羹を「朝食で食べるもの」へポジショニング変更したわけです。 

お供物の羊羹は普段触れる事がありませんが、朝食のあんことして見た場合、パンを食べるご家庭では毎日の光景になります。 

食パンにのせて食べるため、大きさや羊羹のカットの方法など多少の改良は必要だったと思いますが、原材料や製造方法に大きな変更はないと思いますのでそんなにコストアップも必要なく、高価格帯で販売されているため、十分な利益が確保されているでしょう。コンビニでもコッペパンに小倉あんとバターがサンドされた菓子パンがありますが、それの食パンバージョンですね。 

おそらく、戦略を打って製品のポジショニング変更を行ったわけではないとは思いますが、ただ、それに「気づくかスルーするか」が今回のポイントです。 

このスライス羊羹は、女将の2人のお子様が朝食の食パンを食べる際に1人はスライスチーズ、もう1人はあんこを塗ってほしいとリクエストが会ったことがきっかけだったとのことです。冷えたあんこは硬くて食パンには塗りにくく、スライスチーズみたいに簡単に置けないかな、と感じたことがスライス羊羹開発の発端であったそうです。同じカテゴリーで同じような製品でもそのポジショニングの変更やちょっとしたアイデアで大幅な売り上げを見込める事があると言う良い例ですね。 

日々仕事をしていて、こうした方がいいのにな、とハッと思ってもそのまま業務におわれ、結局、頭の中からそのアイデアが消えていくことが多々あるかと思います。 

アンメルツやのどぬーるなどでお馴染みの小林製薬はあったらいいな、をカタチにする会社で、こう言うものが有ればいいな、と思ったものを社員全員から提案を受け、それを会議で熟考した後、製品化されるそうです。自分の提案が製品化されますので社員の皆さんもモチベーション高く、毎日ちょっとした気づきを感じることができるのでしょう。 

実際はそこまで徹底して全社員の意見を吸い上げる会社は少ないと思いますが、普段の仕事でも先の羊羹のようにそこまで改良しなくてもお客様が望むことはあるかと思います。ちょっとした気づきを大事にしたいといつも感じていますが、皆さんはいかがでしょうか。 

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