映画「マトリックス」を見て:自分の正義と相手の正義

2021年12月17日(金)に映画『マトリックス レザレクションズ』が公開されます。 

映画「マトリックス」は1999年に公開され、その後2003年に続編として「マトリックス リローデッド」と「マトリックス レボリューションズ」が公開されました。今回、その最新作が12月17日に公開されます。前作から18年も前になるのですね。一番最初の映画「マトリックス」を、若い方はご存知ないかもしれませんね。 

さて、映画「マトリックス」は以下のような設定になっています。 

  1. 機械の世界であり、機械がエネルギー源として人間を飼育しており(人間は液体の中で寝ている状態になっている)、その状態から人類を解放しようとする人間たちと機械の戦いを描いている映画。 
  2. 飼育されている人間が「現実」だと思って生きている世界は、【マトリックス】と呼ばれるプログラムの中(夢の中)の世界であり「現実ではない」。 
  3. 本当の現実では、人類は機械にエネルギーを供給するために前述のように眠らされている。 
  4. 何人かの人間は、今ある「現実」が機械によって人類に与えているもので実は「本当の現実でない」ことに気づき、それによって眠りから目覚めた。 
  5. 主人公のネオは、「本当の現実」で機械と戦う人間たちから、人類を救う「救世主」である可能性があるとして、目覚めさせられた。 

人類が現実だと思っている世界は、実はコンピュータにより作り出された【マトリックス】と呼ばれる仮想世界であり、本当の現実世界で眠りから目覚めたネオをはじめとした人間たちは、コンピュータの支配から人類を開放するために戦いを挑む、と言った内容です。 
 

映画「マトリックス」では、キアヌ・リーブス演じる主人公ネオたちマトリックス内の眠りから解放された人間が、マトリックス内の監視や破壊行為防止のために作られた人間型ソフトウェアエージェント(いわゆるウイルス対策ソフト)であるスミスを倒し、ネオが人類の救世主として覚醒していく、という人類に希望を見出す内容のエンディングとなっています。 人間側から見ると、人類を助けるという視点で描かれています。

しかし違う視点、すなわち機械の立場からこの映画を見ると、「マトリックス」の世界では、人間は機械にエネルギー源を供給するための家畜として扱われています。その家畜である人間が「マトリックス」の世界から逸脱して(目覚めてしまって)、マトリックス上のセキュリティソフト(PCでいうウイルス対策ソフト)であるスミスに攻撃をするという映画となります。よって、マトリックス内で目覚めた人間はPCでいうところのウイルスであり、スミス(ウイルス対策ソフト)はマトリックス内でバグが出ないようそれを防御するのは当然の事であり、マトリックス内では目覚めた人間の方がエラーとなる(悪となる)わけです。 

実際の人間社会に例えるのであれば、養豚場の豚がオリから抜け出し、捕獲に来た保健所の人間に危害を加える、と言ったところでしょうか。 

映画「マトリックス」で覚醒した人間目線で考えると、悪いのは人間をエネルギー源としている機械であり、それをやっつけるという、いかにもハリウッド映画らしいエンディングとなります。しかし機械側の目線でみた場合「マトリックス」は機械が作り出し繁栄している世界であり、前述のように養豚場の例えでいくと、逃げ出した豚は人間であり、人間が暴れ回って保健所の人(機械側)に危害を加えるわけですから、機械側からすれば早急に目覚めた人間を削除したい、と考えることは当然の事だと思います。 

マトリックス内では人間側の立場で見た正義では人間の解放を、機械側から見た正義では目覚めた人間(エラー)の駆除となり、各々の立場によって正義と言うものが変わると言うことを示しています。 

現実の世の中でも、たくさんの対立が発生しています。米中間の国際問題然り、また会社の中でも仕事の考え方や進め方の違いによる衝突が発生したり、大なり小なり色々な衝突がどこでも発生しています。それは各々に正義があり、各々の正義が異なるため衝突が発生します。 

前作の「マトリックス レボリューションズ」では、映画の最後に人間と機械の間で折衷案のような形で、目覚めた人間も生存できるよう、どちらの立場もWin-Winになるような形で幕を閉じました。 

仕事でも自分の意見を推していきたい所はありますが、例えば相手がなぜAという行動や発言を起こしているのかが考えることで、相手が考えている正義を理解し、こちらが主導権を持って相手にその正義を満足させる形に落とし込むことによって、最終的に自分の土俵で相手をコントロールし勝負ができる環境を作り上げることができると考えますが、皆さんはいかがでしょうか。 

今回の「マトリックス レザレクションズ』はどのようなエンディングとなるか、非常に楽しみです。 

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