【費用対効果】:納期が遅れることの機会損失について

会社で業務効率化を目的に、アプリの開発やシステムの構築、クラウドサービスの導入など、なんらかの改善を行うため外部に作成を依頼したりするケースがあります。 

例えば業務改善のため、あるアプリの開発を目的に外部業者へ開発を依頼したとします。A社は見積もりで5,000万円で10ヶ月、B社は7,000万円で8ヶ月で完成とのことでした。会社の予算は4,000万円で考えていましたのでどちらも予算オーバーとなりますが、皆さんならこの見積もりを見てどのように対応されますか? 

普通に考えると、多くの会社では予算が4,000万円なので予算内に収まらないかを、まずA社とB社に打診するのでは無いでしょうか。そしてA社は3,000万円、B社は4,000万円の再見積もりが来た際には、納期は2ヶ月しか変わらないので1,000万円も安いA社に決定する。事業部としては経費の節約ができたので、良い調整ができたと捉えられるのではないでしょうか。 

おそらく、これが普通の考え方だと思います。 

一方、本来このアプリの開発を依頼した目的はなんでしょうか? 何のために高いお金を払っているのでしょうか?

このアプリを使用することで業務効率化を進める予定ですから、例えば、業務改善し効率よく仕事を運営していくこと、時間短縮による経費削減、人員の他の業務への展開など、効率化によるさまざまなメリットが考えられます。そう考えた場合、A社に4,000万円で10ヶ月でこのアプリの開発を依頼することは妥当なのでしょうか?

このアプリで得られる効果によって仕事量の1/4が削減できるのであれば、メンバーが12名いれば3名分ものコストが削減できることであり、その3名に新たな仕事を担ってもらうことができるわけです。そう考えた場合、開発が早ければ早いほど生産性の向上が見込まれ、さらに新たな仕事による売り上げ増、利益を生み出すことができるようになります。アプリ開発によるその後の効果を期待するからこそ高いお金を払い、早くその効果を得たいと考えることが本来の考えではないでしょうか。

よって、このアプリの開発の真の目的を考えた場合、より早くその効果を得たいのであれば「A社、B社に4,000万円で開発できるか?」のコスト削減の交渉ではなく、「3ヶ月、4ヶ月で開発できないのか?そのためにはどれくらいのコストがかかるか?」と依頼する方法も出てくるわけです。日本の会社ではまずこのような視点で発注はしないのでは無いでしょうか。

本来の外注する際のコストとは、そのアプリを開発するコストではなく、そのアプリを用いて以降に削減できるコストのことであり、それにより生み出される効果を加味した上で考えなければなりません。なんでもかんでもその場の開発コストが安ければ良い、といったことでは無いのです。

また、安く発注した際にこんなことが発生することもあります。

A社に発注し開発を依頼したのですが、コストを削減したためにA社の開発リソースが少なくなり、予定通りのスケジュールで進捗報告してこない、またこちらが意図している内容と異なる部分があり修正が必要となったが、その修正に対してリソースが少ないため時間がかかる、さらに開発期間の延長によって追加費用が発生する、などなど。 

上記のように発注時のコストを抑えた結果、こちらが意図してきたものと違うものが出来上がり、意図していない時間や費用がかかるということは結構あるように思います。 さらに、A社に既に発注しているし、費用も一部支払ってしまっている。予定より無駄な時間やコストがかかるにもかかるが、アプリの開発をすでに途中まで走っているので、引くに引けず、そのまま継続して進める、などないですか? 

これが一番やってはいけない行為です。結果的に時間と費用がかかり、それによって業務改善が一向に進まない。お金と時間と労力の無駄という最悪のパターンです。でも会社でもありますよね?

一方海外では、先に記載したように例えば5,000万円で10ヶ月かかるとなった場合、10ヶ月を3ヶ月にするためにはどれぐらい費用がかかるか確認を行い。エンジニアを10人増やせば3ヶ月でできるということであれば、初期投資コストが嵩んでもその方法で進めるかの模索します。その投資効果がどれぐらいあるかをまず考えるわけですね。 

これは、日本と海外のコストに対する考え方の違いですが、 日本では開発で発生するコストを如何に削減するかを、海外ではより早く開発して得られる投資効果を見据えたコストを検討します。よって費用対効果が高ければそれに投資するわけです。 

その結果、何が違ってくるでしょうか。 

お分かりかと思いますがこの考えは「Time is Money」の考えです。如何に投資効果を検討し「機会損失」発生させないようにするか、を考えています。 安ければ良い、高ければ良い、と言ったことではなく費用対効果がどれだけ有るのか考えることが重要です。

新製品の開発においても、競合他社より1日でも早くlaunchすることは市場を開拓する上で重要であることは皆さん理解しているはずです。 そのために時間は費用に重要であり、その時間をできる限り有効に活用するための開発コストとなります。たまに会社でもお金を掛けて開発してしまったから、あまり売れないかもしれないがとりあえずだらだら上市まで持っていくなど、ありがちですね。誰も徳をしないんですけどね。 

さて、最初のアプリの話ですが、何かを外注する際、会社はなんらかのメリットを求めて発注します。業務効率化や売り上げの向上を目的にしたり。そのための外注にも関わらず、開発に時間がかかり、結果2年も3年の現状のままの業務を行い、さらに外注コストがかかるなど、とんでもない「機会損失」であり、安いからと開発コストを削減し、予定より開発に長期間かかっていては本末転倒です。 

開発する上でその製品のメリットを早く入手した方が「潜在的な利益」をより早く多く得ることができます。もちろん、無駄なコストをかけることは良く無いですので初期コストに関して吟味は必要ですが、その製品が出来上がった後のメリットを早く得るためにどのようなところに発注するか、どれぐらいの期間で完成するのか、コストはどうなのか、と言ったことも十分考える必要があり、 開発コストを削減したことが会社にとって有益と言った単純なことではなく、その「費用対効果」を見た上で適切な時間とコストなのかを考え、その後の効果が最も出るようにすることが重要と考えますが、 皆さんはいかがでしょうか。 

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