日本企業から革新的なイノベーションは生まれない?

最近、よく革新的なイノベーションによる価値の創造などが謳われるようになりましたが、実際のところ皆さんどう感じられますか?

個人的にはお客様が喜ぶように「改良」「改善」した製品を開発する、でも良いのではと考えています。 

第一生命保険は2021年3月17日、全国の小・中・高校生を対象にした第32回「大人になったらなりたいもの」のアンケート結果を発表した。 

小学生男子の「大人になったらなりたいもの」は、1位が「会社員」、2位は「YouTuber/動画投稿者」、3位は「サッカー選手」、女子の1位は「パティシエ」、2位は「教師/教員」、3位は「幼稚園の先生/保育士」となっています。小学生はまだまだかわいい夢を持っていますね。 

一方、中学生や高校生になると「大人になったらなりたいもの」の1位に男女共「会社員」となりました。男子は2位に「ITエンジニア/プログラマー」、3位に「公務員」「YouTuber/動画投稿者」(中学生同率3位)が入っており、女子は2位に「公務員」、3位に「看護師」が続いています。 

高校生になると社会で働くことが現実的になり「安定」「将来安心」「手に職がある現実的な職業」が人気になっている。 

今の高校生は「好景気」を経験していません。(私もバブル景気終焉後の就職なので良い経験はないのですが) 

生まれた時からデフレが続いていますし、景気が回復する兆しもないし、少子高齢化で自分たちの年金はもらえないかもしれないし、非正規雇用の社員が増えて就職できるかわからないしと、将来に対して先行きが見通せないと感じているのでしょう。 一部上場企業の正社員であれば、簡単に社員をクビにすることはできませんので、「安定」「安心」を求めるために大手の企業に就職する、安定の公務員になる、手に職があるプログラマーなどの仕事を選択し、職にあぶれない環境を確保する。余ったお金は貯金する、NISAで株を始めるなど、将来に対する不安を如何に小さくするかを考えた選択が行われているように感じます。

これは高校生だけでなく、最近の若い会社員でも同様のことが見て取れます。良い意味でコロナ禍で物事を変革させるチャンスと考えることができますが、「安定」「安心」を求めているので、なかなかちょっとした変革もしようとはしません。現状維持バイアスが非常に強く、リスクを取りたがらない考えが強いように思います。

このような「保守的」な考えのもと新しいものにチャレンジし、イノベーションを創造するという考えに至るか、というとなかなか難しいのではないでしょうか。 

「安定」を求めていますから、余計なことはしませんし、「安全」を求めていますので冒険はしません。よって、新しいことにチャレンジする精神は生まれません。従ってイノベーションは起こりにくいかな、と考えています。 

サラリーマンですから、余計なことをして左遷されたりしたら目も当てられませんからね。その気持ちもわかります。 

ただ、日本人というのは昔から「改良」「改善」は得意です。 

コロナワクチンの注射の際、注射器のデットスペースの関係で5回しかワクチンが接種できないという問題がありました。その際に現場の先生や看護師さんが工夫し、インシュリン針でワクチンを注射したり、バイアルからの接種方法の改善で6回分回収できるようにしたり、最近ではテルモ社が7回接種することが可能な注射器を発売するなど、ワクチンを無駄にしないような改良や改善が行われました。 

海外はかなり大雑把ですから、とりあえず注射できれば良いので注射器を改良して5回を7回にして行うという発想があまりありません。それよりも如何に早くワクチンを開発するか、如何にワクチンを確保するかが問題であり、ワクチンが確保しガンガン注射していく、という発想です。 

日本人は少ないワクチンを大事に、効率よく使用するため極めて早い段階で問題を見つけ、創意工夫を持って改良することができます。

日本人はイノベーションを起こすことは苦手ですが、「改良」「改善」が得意、であればそれを強みとして今ある製品について、よりお客さんが望むような「改良」「改善」をおこなうことはできます。ここで「マーケティング」が重要な役割を占めてきます。男性から上戸彩さんをCMに用いて女性が飲むものとしてポジショニングを変更し売り上げを伸ばしたオロナミンCや、アイリスオオヤマのように必要な機能だけ付加し、小型、低価格、シンプルで日本の住宅にマッチした改良をおこなわれた製品は徹底したマーケットリサーチが行われていると思いますので、どのようなリサーチが行われているか、個人的に非常に興味がありますね。

イノベーションは創造できないがお客様にあった製品は創造できるのが日本人。これはこれで世界にはないスキルのように思いますので、しっかりと戦略さえ整えれば世界に通用すると思うんですけどね。

先行品に対して現状の問題点を洗い出し、それを顧客向けにアレンジする。ただし、これは日本企業が得意としている「改良」「改善」なので、当たり前ですが先行品に比べ競争は激しくなる。この製品はお客様にどのようなメリットがあり、どのように満足できるのかなどをお客様に示すため、マーケティングを用いたポジショニング戦略、価格戦略、販促戦略などを駆使し差別化をおこなう。

「改良」「改善」が主たる製品の開発ポイントとなるほとんどの日本企業において、如何にして他社と差別化するかを考える上で「マーケティング」スキルは会社にとって最も重要なスキルと感じていますが、皆さんはいかがでしょうか。 

タイトルとURLをコピーしました